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平成14年第2回定例会

​協働型社会を目指して!

〈質問通告〉

協働型社会を目指して

  • 協働社会に対する区長のお考えと目指す決意は。

  • 協働のための方針または指針を作成すべき。

  • 具体的な取り組みとして、①窓口の設置を、②NPOへの支援を



〈質問と答弁の全文〉

 平成14年第2回定例会にあたり公明党議員団の一員として一般質問させていただきます。
 私は区民との協働について3点質問させていただきます。
 最初に、ちょうど一年前ですが昨年6月に行われました地方分権推進委員会最終報告を紹介させていただきます。この報告に地方公共団体の関係者及び住民への訴えという項目があります。そこには、「最後に地方公共団体の男女を問わずすべての住民に対して訴えておきたいことがある。地方自治とは、元来、自分たちの地域を自分たちで治めることである。地域住民には、これまで以上に、地方公共団体の政策決定過程に積極的に参画し自分たちの意向を的確に反映させようとする主体的な姿勢が望まれる。また地方税の納税者として、地方公共団体の行政サービスの是非を受益と負担の均衡という観点から総合的に評価し、これを厳しく取捨選択する姿勢が期待される。自己決定、自己責任の原理に基づく分権型社会を創造していくためには住民みずからの公共心の覚醒が求められるのである。そしてまた当面する少子高齢社会の諸課題に的確に対応していくためにも、行政の総合化を促進し、公私協働の仕組みを構築していくことが強く求められている。公共サービスの提供を、あげて地方公共団体による行政サービスに依存する姿勢を改め、コミュニティで担い得るものはコミュニティが、NPOで担い得るものはNPOが担い、地方公共団体の関係者と住民が協働して本来の『公共社会』を創造してほしい。」と、以上の内容です。ここでは21世紀の新たなる官(公)と民のあり方を強く地方公共団体の関係者と住民に訴えていると思います。
 さて、この報告を受けてあるべき姿としての自己決定、自己責任に基づく分権型社会また公私協働による公共社会とはもう少し具体的には行政と区民はどうすればいいことなのでしょうか。
 この最終報告をわかりやすく述べたものに、札幌市がこの5月に発表した「都市経営方針」がありますので引用してみます。
 「自分たちの地域を自分たちで治めるという地方自治は行政だけで決め、行政だけで担うものではありません。市民、企業、行政といった都市の構成員みんなが積極的に地域のことを考え論議し、それぞれが果たすべき公共的な役割を担い合いながら札幌市という都市を経営していく『協働型社会』を目指すべきと思います。」と。さらに協働型社会に向かうイメージ図の説明が続きます。それは、大きな役所が真ん中にありその周りに市民、企業、NPO、公益法人などが並んでいる図であります。この図の説明では「行政が公共の大部分を担うという考え方に基づき市役所が肥大化している社会」とあります。その隣の円は協働型社会の円ですが今度は役所もその円周上に市民や企業そしてNPOなどと一緒に並んでいます。当然ですが国も同じ円周上にあります。こちらの円は「多様な都市の構成員がそれぞれの役割を果たしながら公共を担っている社会」と。協働における官(公)と民の関係、あり方また社会をイメージできると思います。
 千代田区ではこの協働については基本計画の中で計画の実現にあたっては、区政への区民参画の促進が何よりも必要とし、区民と区政の双方がともに責任を担い、協働体制を築き区政運営にあたっていくとしています。さらに、多くの区民や各種団体等が区政に参画できるしくみづくりに努めることが大事で、特に本区の地域特性を踏まえて在勤、在学者や企業等についても区政により積極的に参画できるしくみづくりが必要であるとしていますがまさにその通りだと思います。区の特性を考えるとき協働をまずはどういう仕組みの中で実現していくのかが問われているのだと思います。
 協働型社会を目指したその結果として基本構想の将来像である「都心の魅力にあふれ、文化と伝統が息づくまち千代田」も実現できると思います。また基本方針としている「千代田市」を目指し新しい自治のあり方を発信する。また100万人を活力とする自治体「千代田」をつくる、とはまさに協働型社会を目指すことと一致するのではないでしょうか。
 さらにこの協働は決して財政上の理由からではなく、あくまで自分たちの地域は自分たちで治めるとの住民自治の姿としてまた、官(公)と民の新しいあり方からきていることは非常に大事な点であります。区民、企業、ボランティアやNPO、そして行政といった都市の構成員みんなが積極的に地域のことを考えそれぞれが果たすべき公共的な役割を担い合いながら協働型社会を目指していくべきではないかと思います。
 そこで最初に「協働型社会」に対する区長のお考えと目指す決意をお伺いします。

 次に少し具体的な例をみてみましょう。
 自発的に公共を担おうという動きはNPOを始めボランティア及びボランティア団体に多く出てきていますが、先日も「早稲田大学生が教員補佐 小中学校でボランティア」という見出しの新聞記事が掲載されていました。早稲田大学と新宿区が協定を結び教育ボランティアを行うというものです。ボランティアが担当するのは、コンピュータ授業や理科の実験、部活動などで、期間は最長1年です。区立の小中学校のほとんどから受け入れ希望が寄せられていると紹介されています。また千葉県の流山市では地域の大学の先生が中心となり住民の方々と共に地域に根ざした政策の立案を行っていくシンクタンク(地域政策研究所)を設立したとの記事がありました。私はさっそく連絡を取り、この設立に努力されている方から直接お話を聞くことができました。その方はチャートを示し熱く語ってくれましたが、あるときは役所といい意味での競争をし、またあるときはお互いに協力しあうこともできます、と。また近々NPOの認証も認められるとのことでした。   他にも公共を少しでも担おうとするNPOやボランティアの記事を毎日のように見ることができるようになりました。ちなみに今日は「東京都が食品表示チェック制度 ボランティア500人が調査」と紹介されていました。
 NPO法人認証数については千代田区でもこの1年間では昨年3月に52だったものがこの4月にはなんと倍以上の116にも増えました。ボランティアの方は社会福祉協議会のちよだボランティアセンターで把握している数字ですがボランティアに関する相談件数は、11年度277件、12年度297件、13年度342件と増えています。活動延べ人数も10年度3912人、13年度は5356人と同様であります。ボランティア登録グループ数は、12年度26グループから13年度41グループへ大幅に増えています。
 全国的にはNPO法が平成10年12月に施行されましたが、このNPO法はそもそも民の自発的な活動に公共性を認めようとするものです。この法律ができてから3年半が経過しましたが全国NPO法人認証数7,173、東京都のそれは1,570に達しています。分野別ではどうでしょうか。保健・医療・福祉が60.8%とやはりトップで次いで社会教育が43.0%となっています。この他まちづくり、文化・芸術・スポーツの振興、環境、災害救援と続きます。
 このようにボランティアやNPOが活発化してきた理由としては、少子高齢化の進展もありますが、大事なことは住民の自発的な社会貢献をしたいという意識、また自治意識の向上が最大の原因ではないかと思います。
 さて、先ほどの早稲田大学生の教育ボランティアですが大学と区が協定を結んだとのこと。この協定という文字がすごく新鮮に感じました。新宿区では協働を行うための「協働の推進に関する基本方針」(まだ庁内指針だそうですが)を定めています。協働を行う相手と協定を結ぶことにより責任も共に分かち合うことができるのではないでしょうか。東京都もNPOなどとの協働を積極的に進めていますが昨年の8月に「協働の推進指針」を定め6つの指針を社会貢献活動団体との具体的な協働を行う際の基準としています。
 そこで、区としてもボランティアやボランティア団体そしてNPOと協働していくための方針または指針を策定する必要があると思いますがいかがでしょうか。当然協働にもいろいろな形がありますのでその方針のもとに各部署がそれぞれの形態に合わせて協働を進めていくことが大事だと思います。協働のための方針または指針策定についてお伺いします。

  次に基本計画でも大事だと述べている今後の具体的な協働のための仕組みづくりについてお伺いします。
 「協働型社会」実現のために行政はいったい何をなすべきなのか。

  1. 情報の積極的な提供による情報の共有化

  2. 職員の意識改革

  3. NPOへの支援

  4. 協働のための担当窓口の設置

 などいずれも重要であります。例えば担当窓口の設置については区民の方の意識が高まっている中、急がれる課題となっています。現在部署ごとに行われているボランィア・NPO等との連携・協働を把握し、区民からの相談にすばやく対応ができるようにすべきだと思います。12年度に区が実施したNPO等自主活動団体に関するアンケート調査によりますと事務所を千代田区に置いた理由として「千代田区との関わりが深いから」「会員の多くが区民だから」と回答したのが約7割もあったそうです。そしてその主たる関わりの内容については「団体の成り立ちが区の講座や社会福祉協議会と関係が有る」「活動対象や活動範囲が千代田区内である」また「活動する人材が区民」そして「区からの事業委託」などであります。このように区内においても協働のための素地も十分で、機運も高まっています。
 そこで、区に協働のための窓口を設置すべきと思いますがいかがでしょうか。またこの他、具体的な取組みについてはどのように準備されているのかお伺いします。

 最後に要望としてですが、NPOへの支援について、この4月より杉並区では指定寄付制度を導入しました。NPOへ寄付したいという人や企業と活動資金に困っているNPOの両方のニーズを満たした制度となっています。私もさっそく訪問し話を聞いてきましたが国税庁との間で相当な苦労があったそうです。この制度についてなぜ創設したのかその背景ですが、担当者の方は、「これまで社会のサービスは主として行政と企業(事業者)という二つのセクターが提供してきた。しかし人々の求めるサービスは多様化し、行政や企業(事業者)だけでは十分に対応できない高度で複雑な課題が増大しています。市民セクターの果たす役割と重要性を十分認識し三つのセクターの協働を進めることが大事です。」と。この制度は現行税制の中で、寄付をする納税者の意思を生かしたNPO支援となっています。国の定めたNPOに対する寄付優遇制はきわめて限定されていて使えません。」とも話していました。
 千代田区でもこの制度を参考に寄付を行う側と受ける側のニーズをかなえるべく検討していただくことを要望いたします。

 以上、区民との協働について質問させていただきました。区長並びに関係理事者の前向きな答弁をよろしくお願いします。ありがとうございました。


〈区長答弁〉

 大串議員の協働型社会に対する考え方についてのご質問にお答えします。
 昨年度策定いたしました千代田区第3次長期総合計画におきましては、100万人を活力とする自治体「千代田」をつくるとして、昼間区民や企業が自治意識と連帯感を共有しながら在住者とともにまちづくりに取り組む自治体を目指すことを基本理念にしております。これはご質問にある協働型社会の考え方と正に軌を一にするものであります。
 最近、区内ではNPO法人によるコーポラティブ方式の住宅供給が始まり、福祉分野におきます各種のボランティアグループの活動が活発化しております。こうした変化の中、本区におきましても、今後パートナーシップ型の行政運営を進めていきたいと考えております。
 新たな発想や行動原理を持つ団体との協働は、行政がどちらかというと縦割り、硬直的、新しいことをつくっていくことに対して非常に後ろ向きな、そうしたことの体質改善にも大いに貢献するものであろうと思います。積極的に協働型社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

〈政策担当部長答弁〉

 大串議員の質問のうち、まず、協働のための方針または指針の策定についてお答えします。
 区内には、認証されているNPO法人のほかにも多数のNPOやボランティアグループがあり、専門性、先駆性を生かした活動を幅広く展開されています。協働とは、このような市民活動団体と行政とが相互に存在を認識し合い、対等な立場で共通する目的実現に向けて活動することと言えます。既に区と連携・協働している団体も幾つかございますが、現在区としての方針が不明確なため、多様な団体の特性を生かし切れていない状況にございます。
 そのため、先月、政策会議内にNPO・ボランティア部会を設け、区とNPO等のとの連携・協働のあり方について提言をいただくこととしたところでございます。
 今後の議論や庁内での検討をもとに、NPO等との連携・協働に関する指針の策定に向けて、区として積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。

〈政策担当部長答弁〉

 次に協働のための窓口の設置についてでございますが、現在NPO等からの問い合わせや活動相談等につきましては、事業を実施している各担当課が対応しています。しかしながら、NPO等の活動分野の多様化・複雑化が進むなど、個々の対応には限界がございます。
 今後は全庁的な協働の拡充を目指し、NPO等の社会貢献活動に関する情報の収集・提供を行うほか、協働事業にかかわる情報の公開を進める窓口を設けることも含めまして、協働に向けた環境づくりを図ってまいりたいと考えてございます。

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